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ハルビン工程大学

現地調査日:2008/05/26
最終更新日:2008/05/28



6.コメント

以下、06/09/07執筆
●この大学は日本ではまったくの無名であるが、黒龍江省ではハルビン工業大学などとならぶ難関校である。

●06年02月から留学生部門の幹部職員を入替え、急速に強化に乗り出しており、留学生の教育効果、利便性を意識した、様々な革新的な取組みを行っている。

●教務面ではHSK対策と輔導(中国人学生による家庭教師)システムが挙げられる。黒龍江省ではHSK補講を行っていない大学が多い中で、ここではHSK試験4科目それぞれについて毎週補講を行っており、しかもそのすべてが受講料無料である。北京、上海など日本人、韓国人が多い大学はどこでもHSK補講は行っているが、4科目に分けて毎週行っているところは極めて少ない。

●この大学の輔導(家庭教師)の紹介システムは非常に整っている。
1.輔導を雇いたい留学生は弁公室に申請する。
2.輔導をしたい中国人学生は弁公室に登録する。
3.登録時に弁公室は中国人学生の学歴、出身地などを調べ、同時に簡単な面接を行う。この時点で発音などに問題がある場合は、留学生に紹介しない。
4.留学生の希望(日本語が多少できるなど)に適した中国人学生を紹介する。
5.両者が面談し、条件が合えば輔導をはじめる。
6.留学生の希望に合わなかった場合、弁公室は別の学生を再度紹介する。
※このシステムによって、標準語の発音がきれいであるなど、家庭教師としてふさわしい中国人学生を紹介できるようになっている。
※普通、輔導は同級生の紹介など人づてで探すので、当りはずれが大きい。この大学のこの取組みは、輔導を活用しようと考えている留学希望者には非常に大きなメリットがある。

●このように、留学生任せにするのではなく、大学が仲介することで、正しい発音を身につけた中国人学生から学べるようにしている。実際、私が取材に訪問した時には、江西省出身の学生がリストから削除されていた。標準語がもっとも正しく発音されるといわれるハルピンに立地するメリットを最大限に活用しようという大学側の熱意が感じられる。

●この2点について付言したいのは、HSK対策や輔導システムが優れていること以上に、留学生のために何かをしようという姿勢があることである。留学生が何を求めているのか、何をすれば留学生のためになるのかという視点がなければ、このような対策を講じようとする発想自体が出てこない。この2点はこの大学が留学生の学習環境の充実をいかに真剣に考えているかを如実に物語っている。彼らは真剣である。

●クラス構成については、留学生の出身国が多岐に渡ることが挙げられる。黒龍江省の大学は地勢的要因から韓国人とロシア人で留学生の8〜9割を占めることが多いが、ここでは約半数にとどまっている。逆にタイ人が10人もいるほか、アメリカ、イギリスなど欧米からも集まっている。そして日本では無名であるがゆえに、日本人は現時点で2人だけである。

●生活環境面については、学生寮のコストパフォーマンスが良い。2人部屋と言いながらも実際には1人部屋に近い独立性が保たれている。各個室にテレビがあり、NHKのBSが映り、室内で料理ができ、洗濯機も2人に1台である。上海でこの環境を得ようと思うと、場合によっては1部屋2,500元、1人当り1,200元は必要である。

●またハルピン駅からバスで約10分と中心部に近く、買物などに不自由することもない。

●強いて課題を挙げるとすれば中高級クラスのカリキュラムが他の大学に比較するとやや低い。ここの中級クラスは他校で言えば初級と中級の間くらいにあたる。特に他大学で一通り勉強し、一番上のクラスでさらに鍛えようと思ってこの大学の高級クラスに入った場合は、少し物足りなさを感じるかもしれない。逆に言うと、一部のハイレベルの学生を除けば、それほどの支障にはならない。

●06年02月に着任した幹部2人が先頭に立って、急速に改革を進めており、他校では見られない新しい取組みが行われている。弁公室全体にも良くしようという雰囲気がみなぎっている。

●1.教育面でのサポートシステムの充実、2.住環境のコストパフォーマンスの高さ、3.北京・上海などと比べた場合の学費の安さ、4.弁公室の新しい取組みへの積極性、以上4つのポイントから判断して、実際の授業を受けたことがない立場からではあるが、今最もおすすめできる留学先の一つと言える。

以下、07/05/02加筆
●07年春学期から授業時間数が毎週18コマから20コマに拡大された。

●07年春学期から使用する教材の情報が非公開になった。非常に残念で遺憾である。転校先として検討する場合には教材の情報は有益であるので、今後、再度公開となることを関係者には期待したい。

●07年春学期から奨学金制度が制定された。それぞれの金額はそれほど高額ではないが、種類が多く、対象となる範囲も割と広い。学生のやる気を鼓舞するという意味では良いだろう。ただ、奨学金の支給時期が評価対象学期の翌学期となる。例えば、07年春学期にHSK8級に合格すれば本来ならば奨学金1,000元の対象となるが、支給されるのは秋学期の第7週である。つまり、実質的に半年留学者は対象外となる。

以下、07/05/09加筆
●07年春学期からHSK補講の開催時期が、常時から試験前1ヶ月前後に短縮された。

●07年春学期からホームステイが導入された。内容は、1.ハルピン市内からこの大学に通う中国人学生の家庭に、2.1泊し、3.費用は大学側が負担する、というもの。1泊2日の短期ではあるが、中国の一般家庭での生活を体験することが出来る。

以下、07/11/15加筆
●07年秋学期から使用する教材の情報が再公開された。転校先として検討する場合に参考にしていただきたい。

●07年秋学期から従来最上位だったE班の上に、新たにF班が開設された。ハルピン市内では珍しい商務口語の授業が設定されている。

以下、08/04/21加筆
●1クラスの平均人数が微増傾向にある。

●従来、試験科目ごとに4科目設定されていたHSKの選択科目が1科目に統合され、代わりに2段階2クラスの設定となった。なお、英会話の選択科目は今学期から新設されたが、来学期以降も開設されるかは確認が必要。

以下、08/05/28加筆
●国際部門に外国人英語教師が多くいる特徴を活かし、上述の通り、今学期から英会話の選択科目を2レベル2クラス開設した。参加者が多く好評を得たため、来学期も継続することが決まった。中国留学中に英会話も学びたいという留学希望者は意外に多いが、選択科目で常設している大学は少ない。

●HSK補講は参加者の多寡にかかわらず常時3レベルを開設することにしているとのこと。(今学期は高級の希望者がいなかったため、開設されていない。)

●この大学には外国語学部に日本語学科がないのだが、希望すれば第2外国語で日本語を学ぶ学生を必ず紹介するとのこと。

●輔導の紹介について、弁公室での事前面接は現在では行われていない。ただし、紹介された輔導が自分に合わなかった場合は、申告すれば別の輔導を新たに紹介してくれる。


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